校長挨拶
校 長 坂 井 孝 朗
本校は、明治34年(1901年)、二十世紀の幕開けとともに、山形県荘内農学校として開校しました。今年で創立122年を迎える、県内でも屈指の歴史と伝統を誇る、庄内地区では唯一の農業高校です。創立以来、地域の農業や地元産業の担い手として地域経済を牽引する方々、また地域の行政や文化・スポーツ等さまざまな分野で活躍する先輩諸氏を数多く輩出してまいりました。
本校では、今日までの百年を超える教育精神を表す言葉として、「行学一如(ぎょうがくいちにょ)」を校訓と定めております。修業(実行・実践)と修学(学問・研究)は一体であって、人格形成には学習と実践のどちらも重要であり、互いに影響し合って発展していくものだという仏教の教えに由来する言葉です。
平成13年には創立百周年を記念して、校訓「行学一如」の石碑が建立されました。余談となりますが、今年令和5年のNHK大河ドラマ『どうする家康』では、俳優大森南朋氏が徳川四天王と呼ばれる武将、酒井忠次公を演じています。昨年は、忠次公の孫にあたる忠勝公が、庄内に入部して以来400年目を迎えた年として、鶴岡市では様々なイベントが催されました。石碑は、その旧庄内藩主酒井家の第17代当主であった、酒井忠明氏の揮毫によるものであります。
この校訓のもと、一世紀を超える歴史と伝統を継承し、これからの新しい時代を切り拓いていく人材を育む学び舎として、本校では食料生産科と食品科学科の二つの学科を設置しています。食料生産科では、経営規模の拡大や経営の企業化、加工や経営の複合化に対応できる人材の育成を目指しています。食品科学科では、農業の第6次産業化に対応して、農産物の加工や地域食材を活かした食文化の創造や食品開発を中心に、農業生産物を幅広くコーディネートできる人材の育成を目指しています。また、本校ではプロジェクト学習と呼ばれる問題解決型の学習に取り組んでおり、地域を支える人間の育成を目指し、地域や産業が抱える課題解決をテーマに生徒自らが計画・実行・評価・改善するというサイクルでの学習を実践しています。
農業学習を通して、いのちや環境の大切さを学び、互いに尊重し協力し合う心豊かな人間を育て、郷土を愛し、地域社会に貢献できる人間の育成が本校教育の目指すものであります。一世紀を超える長い歴史と伝統の中、これまで地域の方々からは、学校行事をはじめ、さまざまな教育活動にご支援をいただいて参りました。地域の方々との交流を大切にしながら、これからも農業教育を通して、地域に貢献し、地域の期待に応える学校として努めてまいります。今後ともご支援のほどよろしくお願いいたします。